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metacon2009に参加して -勉強会をブームにしてはいけない-

勉強会カンファレンス、お疲れさまでした。特にスタッフの皆様、本当にお疲れさまでした。
会場を提供して頂いたOracleさん、ありがとうございました。ヒノキの匂いの漂うロビー、広々としたセミナー会場、とても印象的でした。
プレゼンも非常に興味深いものが多く大変ためになりました。このmetaconを今後に生かす事ができるように色々やっていきたいと思います。当日の内容はUstreamで中継され録画もされていますので、興味のある方はそちらをご覧下さい。個人的には勉強会を生涯学習の面から論じた「勉強会と行政」がお勧めです。参加者のblogも少しずつentryされていますし、メディアの方が来られていましたので当日の記事も出てくるかと思います。当日のChatのログはIRCのためログは残っていないと思います。
さて、興味深い事が色々聞けて、大変ためになったmetaconですが、参加することでこれまで懸念していたある事を、他の人からも聞く事ができましたので、書いてみようかと思います。内容的には批判的なものになりますが、特定の人物及びその発言等を批難・否定するつもりはありません。状況をより良くしていこうと考えている立場というのは同じだと思いますので、反論等あるでしょうが、発展的な方向でお願いします。
勉強会の開催ブームへの懸念
勉強会開催がブームであると言われますが、そもそも勉強会はブームで開催すべきものなのでしょうか。甚だ疑問です。

以前あったLUGを中心とした数多くのUsers Groupの設立、そしてその後の衰退と沈静期間。沈静期間に社会に出た当時の私にとっては、社外に技術的な繋がりを持つ事はできませんでした。この頃の私は、社外に何らかの交流会のようなものがあるのではないかと必死に探しました。Users Groupというものがあるという事を知りましたが、その名前から「使う人の集まり」と誤解してしまい、「開発する人の集まり」を探していた私にとって参加したいという気持ちを持つには至りませんでした。UGが何をしている集団なのかをもっと公開していれば、違った今があったと思います。(私が、ChatやUstream中継、Chatログの公開やUstreamの録画にこだわるのはこのような点からです。)他にも異業種交流会というものを見つける事ができましたが、弁護士や看護士とお酒を飲みたかったわけではないので参加するつもりもありませんでした。

そして、数年が経ち、やっと参加すべき勉強会を見つける事ができました。「Ruby勉強会@関西」です。Ruby関西への参加を機に、各種勉強会に顔を出していく事になります。自分でも勉強会を開く事になりました。今も続いているKanasan.JS(現代表は37toさん)です。

そして、去年から続く多数の勉強会の設立。勉強会開催ブームとも言われています。しかし、私は疑問に思います。勉強会はブームで良いのでしょうか。このブームが去った後何が残るんでしょうか。来年、再来年も勉強会は開催され続けていますか。UGのように衰退し、社外で勉強する場が失われてはいませんか。各勉強会設立が同時期であれば、繁盛期衰退期も重なる可能性があります。ほとんどの勉強会の衰退期が同じだった場合、その後には何が残るのでしょうか。

この勉強会開催ブームが一気に盛り上がり、勉強会が定着すれば良いとも思います。しかし、勉強会の存在は未だコミュニティ内だけのもので、業界へはほとんどアピールできていません。会社の重要なポストに就いている人達の耳には届いていません。業界誌を積極的に読む上層部や経営者であれば既にコミュニティへの接触を試みているでしょう。しかし、業界全体に勉強会が重要だという意識を持ってもらうためには経済誌や一般誌への露出が必要です。

勉強会が増えていくためには参加者が必要です。コミュニティに関わる人の数が増えなければ、勉強会の数を増やしたところで参加者の取り合いが起きてしまいます。コミュニティへの人の流入がなければ、勉強会の増加はコミュニティの疲弊をもたらします。コミュニティに関わる人を増やすために、勉強会をブームにするという意見もあるかも知れませんが、現状は人の流入が追いついていないという印象を持っています。

私は、今の開催されている勉強会の数は、コミュニティの体力を上回っていると思っています。上記のように、勉強会開催の意義が業界内の共通意識として根付くのであれば、ブームをもっと盛り上げるべきでしょう。しかし、そうならないのであればもうこれ以上ブームにすべきではないと思います。コミュニティの体力が残っているうちにブームを終わらせなければなりません。

私は、勉強会というものはブームではなく、技術者にとっての日常でなければならないと思っています。ある勉強会が衰退しても、それを補う形で別の勉強会が設立されるような状態が良いと思っています。勉強会がエリマキトカゲやウーパールーパーと同様にならないようにしなければいけないと思っています。ティラミスやナタデココ、パンナコッタと同じではいけないのです。

勉強会のライフサイクルの設立期が、勉強会開催ブームによって統一されてしまう事を危惧します。このままでは13年ゼミや17年ゼミになってしまいます。UG設立期から勉強会設立期の間、コミュニティにほとんど動きがなかった期間と同じような期間を、勉強会開催ブームの後に作ってはいけないと思います。
勉強会バブル
勉強会開催ブームに対する危惧を人に説明したところ、「『勉強会バブル』ですか?」と言われました。勉強会バブル、これが私が感じていることを今のところ一番的確に表していると思います。勉強会をバブルにせずに、技術者の日常になくてはならないものになっていく事を願います。
2009/06/17 追記
続きを書きました。

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