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疑問:なぜPDF版JIS規格書は高価な冊子版と同額であるのか

随分と前の話ではあるが、JavaScriptの可能性と自分のスキルを探るために、何か面白いアイディアがないかと、ふとJIS規格を検索してみた。色々と調べてみた結果、JISCというサイトでPDF(印刷不可:以下閲覧用PDF)が閲覧可能で、JSAというサイトで冊子かPDF(印刷可能?:以下購入用PDF)が購入できるらしい。「何故別機関のサイト?」という疑問が湧く。さらに調べてみると、どうも経済産業省の『日本工業標準調査会(JISC)』という機関が策定し、財団法人(公益法人)である『日本規格協会(JSA)』から規格書が発行されるということらしい。色々な規格が定義されており、なかなか面白いので、興味のある方は一読してみてはどうだろうか。
ここまでは普通の話。ここからが今回の本題。規格番号JISX0303の『性別コード』の規格について、上記の両サイトで検索を行なった時にあることに気がついた。内容は何のことはない『男は△で女は□とします』程度の規格書で、JISCで閲覧すると1ページ、JSAでは4ページ(表紙付?)となっている。冊子の購入には367円(税込)が必要だ。高いかなと思うが、事務手続きや送料を考えると許容範囲内かもしれない。ただ、購入用PDFの値段をみると、冊子と同じ367円(税込)となっている。他の規格書も同様のようだ。システム系技術者にはお馴染みのOSI参照モデルは和文版・英訳版があり次のようになっている。
    和文版:開放型システム間相互接続の基本参照モデル
        1995円(93ページ)
    英訳版:Open Systems Interconnection -- Basic reference model
        17010円!!(103ページ)
    (参考:閲覧用PDFは83ページ)
この値段は冊子の値段であるとともに購入用PDFの値段でもある。紙代・印刷代・送料の一切かからないはずのPDFがである。他にも腑に落ちない部分も発見した。
    規格書には著作権があり複製や転載が無断では不可能である。
    購入用PDFには全ページにウォーターマーク(つまり電子透かし)が追加される。
    ウォーターマークには購入者情報が埋め込まれる。
JIS規格は、各産業界の企業間や技術者間で、各技術に対する共通認識を持たせるための土台ではないのかと私は考えているのだが、これは間違いなのであろうか。
規格の乱立を防ぐための役割を担うとも考えているのだが、これも間違いなのであろうか。閲覧用PDFの印刷が不可能であったり、購入用PDFの複製・転載が不可能であるというのは、私には理解できない。
(上記の性別コードを実際のコードではなく△や□で表現したのはこの為。)
そして、購入用PDFが高価な冊子と同額であるというのは信じがたい。新技術等の規格化の際に、日本が立ち後れてしまい、他国の後を追ってしまっている現状がなんとなく理解できたような気がする。

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コメント (2)

Nari [TypeKey Profile Page]:

はじめまして、Nariと言います。
 前に辞典用語の一部を執筆した際に、人件費や編集や会議にかかるコンテンツのコストが非常に多くなることを実感したことから類推すると、こういった規格のコンテンツコストは非常に高くなると推定できる。辞典等が高価になる理由は、そういったコンテンツそのものの製作費用が高いということにあります。
 個人的に、JIS規格を含め、ISO規格もIEEEの規格も購入しています。
 JIS規格は、日本工業会の規格として重要であるが、JIS規格のコストは、ISOやIEEEの規格書のコストを考えても、それほどぼったくっている価格ではない。専門書のコストで考えれば、そんなに高くはないと思います。個人的には、IEEEやISO/IECの規格表の方が高いという印象があります。
 こういった規格等の資料は、あたりまえですが、印刷して学生や受講生への配布物にはできません。個人的には、電子書籍が安くなるというのは間違いだと考えています。電子書籍は、コンテンツコストであり、印刷物のコストが削減されるというのではなく、新たなコンテンツコストが発生していると考えるべきです。もともとJISの印刷物は、簡易製本でつくられていますから、印刷にはほとんどコストがかかっていません。印刷物の価格と電子書籍の価格の値段が同じなのは、現物を見ると理解できるのではないでしょうか?
 JISのような工業規格の場合、規格が広範囲にわたっているため、企業によって使う使わないがあり、ライセンス契約で考えれば、分野ごとに数十万のコンテンツコストがかかります。たとえば、どっかの軍用規格の場合は、規格資料であるコンテンツの維持コストに数百万円とられますし、関わるのに規定があったりします。
 規格を策定し維持することストは、誰が支払うものであるかについては、きちんとした論議が必要であろうと思います。国が維持するべきであり、コストの支払いを税金とするならば、官報と同じく、維持コストに税金を投入することになりますが、使う業種に限定され、一般の国民に還元されるものではない規格の維持コストに税金を投入するのは、非常に無駄であろうと思います。また、ISOにしてもIEEEにしても、日本工業規格にしても、強制規格ではなかったと思います。任意規格である以上は、使用者負担にせざるを得ないというのが、実情なのではないでしょうか。
 工業規格は、一度規定されたからと言って、同じままではありません。改定が入ります。改定コスト等を考えれば、仕方ないように思います。

Kanasansoft [TypeKey Profile Page]:

Nariさんはじめまして。
JIS規格は関連メーカーの方々も策定に参加しているようなので、どうしても人件費がかかってしまいますね。
この記事を書いた当時は思いつかなかったのですが、今は経費について同意見です。
よくはわからないのですが、この諸経費というのはどこが負担しているのでしょうか。
JISCかJSAが負担しているのであれば、電子版といえども有料なのは理解できますね。
『使う業種に限定され、一般の国民に還元されるものではない規格』という視点はありませんでした。
JISの歴史を知らないためわからないのですが、過去に特定分野の規格をどこが負担するのかの議論はあったのでしょうか。

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